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症例報告

公開·1名のメンバー

全身性アトピー性皮膚炎の症例


田中康徳

治療院デジェル


初診日:2019年3月11日


【患者】

26歳 男性

介護職


【主訴】

・額、腹部、肘、膝の皮疹

・腰痛

・疲労感

・不眠

・頚肩部の凝り



















【初診時所見】

・腹部と前腕から手掌に強い発赤を伴う皮疹

・巻き肩(右肩の強い張り感を訴える)

・首の傾き:左   肩の高さ、肩甲骨下角の高さ:右下がり

・指をパーでしっかり開いたとき、右の第4、5指の開きが小さい

以上より患側(AyIII)は右と考えられた。

※1か月後、首、肩、肩甲骨の傾きが逆になったため患側を左とした。


現病歴

10歳頃に近医皮膚科でアトピー性皮膚炎の診断を受けた。その後、主にステロイド外用薬

で治療を継続していた。皮疹は額、腹部、両肘内側、両膝内側を中心に出現している(とく

に額)。1週間前に外用中止したところ体熱感が出現し不眠となり当治療院に来院した。

将来の不安、両手足の冷え、ドライマウス、多汗、目の重み、姿勢保持が辛い、胃腸の調

子が悪い、今年から花粉症、などの訴えもみられた。


【既往】

0歳:難産で出生

10歳:アトピー性皮膚炎

中学生:オスグッド・シュラッター病

24歳:急性腰痛

   甲状腺腫瘤


【治療・服薬】

ステロイド外用薬


【遠絡処方式】

初診日~6月

① To/2d+c+a+T4~6+T12~S3

② lrAxIII/bc+c+a+4/bc+c+a+4

③ rAyIII/bc+c+a+4/bc+c+a+4

④ lrAyII/bc+c+a

7月~現在(2019年9月)

① To/2d+c+a+T4~6+L2~S5

② lrAxIII/bc+c+a+4/bc+c+a+4

③ lAyIII/bc+c+a+4/bc+c+a+4


トリンプルD トリンプルLED


初診から約1か月後(4月9日)、首・肩・肩甲骨の傾きの変化により患側を左に変更(最

初の治療の③r…を③l…に変更)。7月から骨盤bcレベルの治療範囲を広げるために処方式

を一部変更した。


【治療後の変化】

はじめの処方式では治療翌日は全体的に赤みが強く出た。しかし痒みは軽減した。腰痛、頚

肩部の凝りは治療直後は軽減する。現在の処方式からは治療翌日の発赤はみられなくなった。


【経過】

治療は週1回で継続した。当初は腰痛、肩こりなどに対して連接などの補助治療を追加し

た。体熱感や不眠は外用薬を再開したため治まる。腹部発赤や痒みも外用中止前の状態より

改善し掻き傷も徐々に減少してきた。約1か月後から症状があらわれているライン(TxⅠ・

AyⅡ)の補助治療を省略し、中枢治療のみで治療するようにした。

油物を食べず野菜中心の食事制限をしてから全身の冷えが出現したため、極端な制限をせ

ず温野菜を摂ることをすすめた。夜遅くまでパソコンをする習慣は、アトラスに負荷がかか

り下位脳症状の悪化につながるので、PC作業はほどほどにし、夜更かしせず睡眠をしっかり

とるなどの生活指導を行った。4か月後から胃腸の調子も改善した。額・肘・膝の発赤や痒

みも外用中止前の状態より軽減している。

 経過は良好であり、2019年4月から無職であったが7月より仕事を再開することがで

き日常生活も充実し精神的にも安定している。



【感想・考察・質問等】

遠絡統合医学会的診断として「Dr.KO診断学教室 第4号 P22」の表より皮疹の責任領域は、

 ・全身⇒下位脳:bc

 ・膝・肘⇒L4,5中心:L2~S1

 ・顔・頚:頸椎レベル:a

 ・指:Atlas:c+d

と考えられる。なお、成長過程で事故などで首を痛めた・遊んでいて首や頭から落ちたなど

外傷性のアトラスの炎症につながった病歴がないこと、難産で出生し10歳でアトピーが発症

したことから生来アトラスに障害があったと考えられる。肘・膝は、「産道から出るときに

L4、5が影響を受けると、やわらかい所に出る」(2017年7月23日:症例検討会にて)ことに

よって発症したと考えられる。


さらに種々の症状を原因別に分類すると、


①間脳蓄積症状

  目の重み→視床

  多汗→視床下部

  花粉症→脳下垂体


②アトラスの炎症が橋・延髄に波及して生じる脳幹炎症症状

  ドライマウス→顔面神経・舌咽神経

  両手足の冷え→迷走神経

  胃腸の調子が悪い→迷走神経

  首肩の凝り→副神経

  姿勢保持が辛い→副神経


③アトラスから頚髄にかけての炎症症状

  右第4、5指の開きが悪い

  顔・額のアトピー



 治療後に全体的に強く出る赤みに対して、bc領域にもう少し広い範囲でアプローチしたら

どうかと考えた。これまで2dを追加すると、To治療後に顔がそわそわする感覚が強くなっ

たり、翌日の赤みがより強く出ることがあった。そこで上位中枢との対応でTo治療で2分節

下にずらし、S1~5のbc領域まで広げ腰仙部の処方はL2~S5に変更した。すなわち、S3~5を

追加し、骨盤bc領域を拡大して回数を増やして(3~4回)施術した(7月以降の処方式)。

これにより翌日の発赤が軽減したため継続したところ、施術翌日の発赤は出現しなくなり痒

みも軽減してきた。なお途中でTo/c+aを1回追加したところ翌日に赤みが強く出現したこ

とがあった。

 現在は2d以外は150秒×3回、2dは2回としている。腰仙部は、現在動き回る仕事のため

腰や股関節の状態によって、c+a(L2~S1)領域:2~3回、bc領域(S1~S5):3~4回で継続

している。2dはトリンプルDで2回、c+aは3回以上行うと翌日の赤みが強く出る傾向があ

る。好転反応なのか、刺激過多の反応なのか何を意味するものなのか不明であり、今後の課

題としたい。

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