診断学講座(解説付き)
1. 症例
30歳 男性
主訴
① 採血後の左前腕の痛み・痺れ
【経年齢的病歴】
生来健康
14歳 左上腕骨折
28歳 会社健診時の採血後、同部位から前腕・手掌にかけて痛み・痺れを自覚。総合医療センターにて、週一回のレーザー治療を受け、鎮痛薬・抗うつ薬を処方される。
29歳 嘔気等の体調不良が出現し、内服を休薬。症状の改善を認めないため、ペレス・銀座クリニック受診となる。
【初診時の状態】
肘部・手掌TxIII領域の痺れ
前腕・手掌TxI,TxII,TxIII領域の痛み
【処方】
To/T2~6
【治療後の変化】
左前腕の痛み NRS 10→3~4
左前腕の痺れ NRS 10→2
2. 病態分析
※TxII・TxIIIの痛みは、T4/5レベルのSCの神経線維の障害
※TxIの痛みはL4/5レベルのSCの神経線維の障害
※TxIIIの痺れはT4/5レベルのSNの神経線維の障害
3. Dr.Koの解説
治療は両側AxIII//6/3!を行う。痛みはレーザーでとれるが、痺れは、両側AxIII//6/3!で消える。
TxIの痛みは、L3/4のSCの神経線維の障害。
TxI,TyI同時の時はL4/5を考える。
TxIIIの痺れに関しては、sectionの場合はSCの部分的圧迫と同じ高さのSNの完全圧迫。SCの場合は縦ラインの痛みが生じる。
【患者様や問診者の感想】
患者様自身が前腕の痛みや痺れを健診時の採血が原因だと考えていて、自分自身のSC,SNの神経線維の障害が原因とは全く、考えておらず、Dr.Koの病態説明と治療結果で改めて、納得した御様子であった。
また、問診者も経過から、患者様自身の言葉をそのまま信じ、本来であれば、採血という原因からは生じえない現象を、疑問も持たずに原因と結び付けていた。症状を丁寧に聞くという基本と、症状から幹、One-pointを引き出し、そこから、再度、患者様自身が自覚していない症状を明確にし、治療することの大切さを学びました。
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