症例担当 石川平八医師(第4期尚志塾士)
55歳 男性
主訴 ①右膝関節痛(AxI<AxII)
【経年齢的病歴】
0歳~風邪をひくと咳が長引き易かった。
35歳 ぎっくり腰 以後、腰痛を起こし易い。
45歳 項背部痛。
50歳 夜間排尿回数↑→前立腺肥大症。
51歳 脳ドックにて聴神経腫瘍発見。(自覚症状無し)
52歳 聴神経腫瘍に対するサイバーナイフによる根治治療。
55歳(H23年)
10/25
①右膝関節痛(AxI、AxII)による歩行困難
⇒②右大腿部前面(AyI、AxI)のつっぱり感→正座不可。
③ 右下腿前面(AxI)の鈍痛。
11/5 某整形外科受診
→腰椎(L4/5)の異常による膝痛とDx。
整体と投薬→②③ほぼ消失。①も半減となるが、その後の継続治療にも関わらず、それ以上の改善無し。
【初診時の状況】
右膝関節痛(AxI<AxII)
項背部痛(重み)
【理学療法所見】
背部血管性兆候:右傍脊柱膨隆をT10~S3に認む
【処方】
① To/2d+c+a+T12~S3
② rAxIII/bc+c+a/bc+c+a
③ lAyIII/bc+c+a/bc+c+a
④ lAxIII/bc+c+a/bc+c+a
【治療後の変化】
右膝痛 10→1~0
項部痛 10→0
病態分析
I 八卦、O1-y、O1、O1発生理由(表1)
II 八卦、O1-y、O1、O1発生理由(図1)
《O1-yの経年的変化》
出産時 アトラスSC炎症
0歳~ 視床下部―脳下垂体 蓄積
橋~延髄 炎症→孤束核(VII,IX,X)の圧迫
35歳 迷走神経 細胞圧迫(←延髄炎症)
→相対的交感神経機能亢進
→T12~L4レベルの血流低下
45歳 副神経(XI) 細胞圧迫
50歳 下位脳(bc) 蓄積と炎症
51歳 アトラスレベルでの聴神経(VIII)への分岐リンパ管の圧迫
55歳 S2/3中心のSC炎症
T4/5中心のSC炎症
(表1 八卦、O1-y、O1、O1発生理由)
(図1 八卦、O1-y、O1、O1発生理由)
Dr.Koの解説
聴神経腫瘍の発生はアトラスのレベルでリンパの流れが阻害されたことに起因する。では、何故聴神経のみがターゲット臓器なのか。
まず、圧迫は硬い物(ex.骨、軟骨など)によって惹起される。そして胸腺からのリンパの流れはアトラスのレベルで聴神経、唾液腺、視神経などへとさらに細かく分岐してゆく。そこでアトラスの極く狭い部分でリンパの流れが阻害されると、つまりそれが丁度聴神経への分岐に相当すると、同部位へのリンパの流れが阻害され、その結果聴神経腫瘍が発症することになる。
右下腿部前面と右大腿部前面の疼痛については、それぞれS1~4(S2/3)中心のSC炎症によると考えられる。共にbcレベルの障害である。
前立腺の場合もその病態が癌であればc+aレベルでのリンパ圧迫によるが、この症例は肥大であり、アトラス炎症に伴う血流阻害によって引き起こされた下位脳bcの障害に起因している。